
仏壇のあるリビングについて考える。サイズやレイアウト、注意点を解説
近年の一般住宅では、仏壇を仏間ではなく、リビングに配置する間取りが増加傾向にあります。
仏壇をリビングに置くレイアウトにはさまざまなメリットがあります。ライフスタイルが多様化する中で、リビングに仏壇のあるご家庭は珍しいものではなくなりました。
一方で、仏壇をリビングに置く場合はサイズや方角、湿気対策などいくつかの注意点もあります。
「仏壇をリビングに置きたい」「参考になる事例が見たい」という方のため、本記事では仏壇をリビングに置くメリットとレイアウトの注意点をまとめました。
仏壇の選び方やリビングにおすすめの仏壇もご紹介するので、仏壇の配置でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
近年増えている「リビングに仏壇を置く間取り」

住宅トレンドの変化やライフスタイル多様化などにより、近年は仏壇をリビングに配置する間取りが注目されています。
生活様式が欧米化したことで、仏間や和室よりも洋室の方が使い勝手がよいと感じる人は多いです。「仏壇のためだけに和室をつくるならリビングを広くしたい」という考え方もあり、ここ最近は和室のない住宅も珍しくありません。
仏壇自体を持たないという選択肢もありますが、日本人はご先祖様を大切する民族なので、いまも供養のためには仏壇が必要という考え方が根付いています。
では、仏壇をどこに置くのか?と考えた時に、まず選択肢にあげられるのがリビングです。家族が集まる空間に仏壇を置き、故人を思い出すきっかけが増えることは非常に理にかなっています。
仏壇をリビングに置く間取りは、形式にとらわれない新しい供養の形です。また、仏壇をリビングに置く間取りが普及した背景には、仏壇のサイズや見た目の選択肢が広がったことも理由の一つとして考えられます。
仏壇をリビングに置いてはいけないという決まりはなく、風水的にも問題はないと言われています。「仏壇は置きたいけど仏間をつくるのはちょっと…」とお悩みの方は、仏壇をリビングに置く間取りを検討してみてはいかがでしょうか。
リビングに仏壇を置くメリット

仏壇をリビングに置く間取りにはいくつものメリットがあります。
- 仏間をつくらなくて良い
- 手を合わせる機会が増える
- 防犯・管理の面で安心感がある
- 故人との距離を近くに感じられる
ここからはそれぞれのメリットを詳しく解説します。
1.仏間をつくらなくて良い
仏壇をリビングに置く最大のメリットは仏間や和室をつくる必要がなく、スペースを有効活用できることです。
現代人にとって仏間や和室は使い勝手があまりよくなく、仏壇に手を合わせる目的以外で利用する機会は少ないかもしれません。
仏間がなければその分リビングを広くしたり、予備室として使い勝手のいいお部屋をつくることができます。また、限られたスペースを効果的に使えることで家事効率の向上にもつながります。
2.手を合わせる機会が増える
家族が日常的に過ごすリビングに仏壇があると、ご先祖様に手を合わせる時間が自然に生まれます。
朝のあいさつや外出前の一礼など、何気ない毎日の中に供養の時間があることは、ご先祖様にとっても嬉しい時間となるはずです。お子さんがいるご家庭なら、毎日の供養を通して命の大切さや感謝の気持ちを伝えるきっかけにもなります。
目の届く場所に仏壇を置くことで、世代を超えた供養の文化が自然と受け継がれていくでしょう。
3.防犯・管理の面で安心感がある
仏壇のあるご家庭では、ロウソクや線香の取り扱いに細心の注意を払わなければいけません。
リビングに比べて仏間はそこで過ごす時間が短く、火のトラブルが起きても気づきにくいデメリットがあります。出入りする機会が少ないお部屋は掃除の頻度も少ないので、溜まったホコリが延焼を早める原因になることも。
反対に、リビングにある仏壇は人目につきやすく、ろうそくをうっかり消し忘れても早めの対処が可能です。掃除のハードルも低くなり、安全性と清潔感を両立できるメリットがあります。
4.故人との距離を近くに感じられる
一日の中でもっとも長い時間を過ごすリビングに仏壇があると、まるで故人と一緒に過ごしているかのような心のつながりを感じられます。
思い出の写真や遺品を飾ると、故人がそばにいてくれるような安心感があります。法事や命日などの特別な日に限らず、日々の暮らしの中で自然と語りかけたり、感謝の気持ちを伝える時間が増えるかもしれません。
また、お子さんやお孫さんの「家族とのつながりを大切にする心」を育む方法としても有効だといえるでしょう。
リビングに置く仏壇のサイズ

リビングに仏壇を置く場合は、お部屋の広さや家具とのバランスを考慮した仏壇選びが重要です。
昔ながらの大型仏壇はスペースを圧迫してしまうため、省スペースを意識するならリビング向けにデザインされた「モダン仏壇」や「ミニ仏壇」をおすすめします。
インテリアとの調和を大切にするなら、高さ40〜100cm程度のコンパクトな上置きタイプも選択肢に。近年は仏具や形式にとらわれない「手元供養」の考え方も広まってきました。
リビングに仏壇を置く以上は、ほかの家具やインテリアとの調和も無視できません。存在感が出過ぎないサイズを選びたいので、設置場所のスペースを正確に測り、仏具やお供えの配置スペースも含めたサイズ感をイメージしておくと安心です。
リビングに仏壇を置く場合の注意点

仏壇をリビングに置く場合には以下のポイントに注意が必要です。
- 方角
- 湿気・直射日光
- インテリアとの調和
- いたずら防止
- 神棚の位置
ここからはそれぞれの注意点を詳しく解説します。
1.方角
仏壇を設置する方角にはさまざまな考え方があり、宗派によって推奨される向きが異なる場合があります。
仏壇を南向きに置いて北向きに手を合わせる「南面北座」や、東向きに配置する「西方浄土」、総本山に向かって配置する「本山中心」の考え方など、実にさまざまです。
現代の住宅事情では方角にこだわることが難しいケースもありますが、上置きタイプの仏壇やミニ仏壇であれば比較的場所をつくりやすいかと思います。
仏壇を設置する方角について詳しく知りたい時は、菩提寺やお付き合いのあるお寺に相談すると安心です。
2.湿気・直射日光
仏壇のおもな材質は木材であり、湿気や直射日光によって劣化しやすい点に注意が必要です。
湿気の多い場所ではカビや腐食の原因になり、仏壇内部に置く仏具や位牌も影響を受けやすくなります。リビングには加湿器や観葉植物を置くことも多いので、設置場所は慎重に判断したいところです。
また、仏壇を直射日光が当たる場所に置くと、塗装の変色や乾燥によるひび割れが起こることがあります。リビングは日当たりを重視したい空間なので、遮光カーテンを活用したり風通しのよい場所を選ぶなどの工夫が必要です。
3.インテリアとの調和
仏壇がリビングのインテリアに馴染まないと仏壇だけが浮いてしまい、景観に違和感が出ることがあります。
リビングは家族だけでなく、ゲストが訪れることもある場所です。違和感や圧迫感が強調されると居心地にも影響を与えるため、可能な限りインテリアと調和する見た目のものを選びましょう。
近年は、木目調や北欧風の家具にも合うモダン仏壇が増えています。扉を閉めると仏壇だとわからないデザインのものもあるので、リビングのインテリア性を重視したい方にも選びやすいかと思います。
4.いたずら防止
小さなお子さんやペットのいるご家庭では、仏壇のいたずら対策も欠かせません。
仏壇にはろうそくや線香、壊れやすい仏具など、倒れたり火がついたまま触れたりすると危険なものが多くあります。予期せぬ事故を防ぐには、手の届きにくい高さに設置するか、安定性のある家具の上に置くなどの工夫が必要です。
お子さんが小さいうちは電気ロウソクやLED照明など、事故のリスクが低い仏具を選ぶなどの方法もあります。
5.神棚の位置
仏壇と神棚の両方を設ける場合は位置関係にも注意が必要です。
同じお部屋に置くこと自体は問題ありませんが、それぞれ距離を保って配置するのが理想的です。「神棚は上位、仏壇は下位」という考え方がありますが、一般的に神棚の真下に仏壇を配置するのはNGです。(神様が仏様を踏むととらえられるため)
また、向かい合わせの位置関係も神様仏様にお尻を向けるのが失礼だという理由から避けるべきだと言われています。
現代の住空間では難しい部分もありますが、可能な範囲で宗教的な意味合いを尊重しつつ、落ち着いた空間に収めることを意識したいものです。
リビングにおすすめの仏壇【レイアウト参考】
最後に、リビングに置いても違和感のない仏壇をいくつかご紹介します。レイアウトの参考にもどうぞ。

リビングの一角に置かれたこちらの仏壇は、一見すると仏壇とわからない見た目が印象的です。
他のインテリアによくなじむ見た目で、仏壇特有の圧迫感はほとんど感じません。リビングとつながりのある空間にさりげなく配置することで、故人を近くに感じられるレイアウトです。

こちらはホワイトと淡いグレーにブラウンの家具でアクセントを入れた事例です。
左手前のチェストと統一感のある仏壇は、それと言われなければわからないほどインテリアによく馴染んでいます。日当たりのいい窓を背面側に配置することで、直射日光による劣化を防ぐこともできますね。

近年は仏壇も多様化が進み、仏壇の見た目は大きく変化しました。
海外風のインテリアがおしゃれなこちらの画像では、ホワイトの仏壇がよくなじんでいます。デザインもサイズも違和感がないので、仏壇をリビングに置くレイアウトは今後ますます需要が高まりそうです。
リビングに仏壇を置いて、現代の暮らしに合った供養を

仏壇は必ずしも仏間や和室に置かなければならないという決まりはありません。
リビングに仏壇のあるレイアウトは、手を合わせる機会が自然と増え、故人とのつながりを身近に感じられるメリットがあります。日本の住宅事情は常に変化し続けているので、ライフスタイルに合わせた供養の仕方を考えたいものです。
方角や湿気対策、インテリアとの調和などいくつかの注意もあるので、現代の暮らしに合わせた配置を模索していきましょう。
「リビングに仏壇を置きたい」「レイアウトで悩んでいる」といったご相談・お悩みは、株式会社COLORHOUSEまでお問い合わせください。インテリアになじむ仏壇やレイアウトをご提案させていただきます。
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